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「トップヒント」は最新テクノロジートレンドを探るコラムです。今回のテーマは、社員が自然と使いたくなるシステム構築についてお伝えします。
社員がシステムを使わずに独自のやり方で仕事を進めている——そんな場面を見ると、「なぜ決められた手順を守らないのか」と感じるかもしれません。しかし多くの場合、その「抜け道」は社員のサボりではなく、システムへの不満が表面に出たサインです。
操作に時間がかかりすぎる、実際の仕事の進め方と噛み合っていない、入力項目が多すぎる——こうした使いにくさがあると、人は無意識のうちに楽な方法を探し始めます。
つまり、問題の原因は社員の意識ではなく、システムの設計そのものにあることがほとんどです。
では、どうすれば人が自然と使いたくなるシステムを作れるのでしょうか。答えは、監視やルールを厳しくすることではありません。「使いたくない理由」を一つひとつ取り除いていくことです。
1. 正しい手順を、一番速い手順にする
システムを使うより、迂回した方が早く仕事が終わる——そうなった時点で、そのシステムは使われなくなります。人は、ルールよりも「速さ」を優先するものだからです。
まず見直したいのは、「この作業を進めるために、本当に必要な操作はどれか」という点です。
すぐに必要のない入力項目は、後回しにするか省く
よく使う選択肢はあらかじめデフォルトで設定しておき、ユーザーが迷わないようにする
操作の流れを短くして、余計な判断をさせない
目安となる基準はシンプルです。「1分以内に終わる操作なら、人は深く考えずにやってくれる」——この感覚を設計の出発点にしましょう。
逆に言えば、1分を超えるような手間がかかる時点で、抜け道を探されるリスクが一気に高まります。
2. 「理想の状況」ではなく「現実の業務」に合わせて設計する
多くのシステムは、ユーザーが必要な情報をすべて手元に持ち、時間にも余裕があり、集中して操作できる——そんな理想的な状況を前提に設計されています。
しかし実際の仕事現場は、まったく違います。
情報は途中までしかそろっていない、作業中に割り込みが入る、何から手をつければいいかわからない——そんな状況が日常です。
だからこそ、システムには次のような柔軟さが必要です。
情報が不完全でも、とりあえず入力を始められる
途中で中断しても、続きからスムーズに再開できる
次に何をすべきかが、画面を見ればすぐわかる
完璧な状況でなくても使い続けられるシステムであれば、わざわざ別のやり方を探す必要がなくなります。現実の「行き当たりばったりな仕事の進め方」に寄り添う設計こそが、システムが定着するかどうかを左右します。
3. 使った瞬間に「やって良かった」と思わせる
「入力したのに、何も変わらない」——そう感じた瞬間、人はそのシステムを「面倒なだけ」と判断します。一度そう思われてしまうと、次第に使われなくなっていきます。
この問題を解決するカギは、使ったことへの手応えを、すぐに返すことです。
たとえば、こんな小さな工夫が効果的です。
入力した直後に、進捗や状況が画面に表示される
問い合わせや申請への対応が、明らかに早くなる
これまで必要だった確認作業や、やり取りの手間が減る
大きな変化でなくても構いません。「使ったら、ちゃんと得をした」という小さな実感が積み重なることで、人は自然と同じシステムを使い続けるようになります。
逆に言えば、メリットが見えないシステムはどれだけ機能が充実していても、使われません。「使う価値がある」と感じてもらえるかどうかが、システムの定着を左右します。
4. 「行動」を統一するのではなく、「結果」を統一する
「このシステムでは、必ずこの手順で操作してください」——細かいところまで決めすぎたルールは、使う人の反発を招きます。融通が利かないと感じた人は、やがて抜け道を探し始めます。
大切なのは、「何を統一すべきか」を正しく見極めることです。
絶対に外せない部分はあります。セキュリティの確保、承認フローの遵守、作業の記録と追跡——これらはどんな場合でも守られなければなりません。しかし、それ以外の細かい操作手順や進め方は、ある程度ユーザーに任せて構いません。
「守るべき線引きははっきりしているが、その中でのやり方は自分で決められる」——そう感じられるシステムは、使う人に信頼感を与えます。そして信頼できるシステムは、わざわざ迂回しようとは思われなくなります。
まとめ:「抜け道」はシステムへのフィードバックだと捉える
社員がシステムを使わないのは、怠けているからではありません。システムが現実の仕事に合っていないからです。
使われるシステムを作るには、次の3つを常に意識することが大切です。
- 使う人の時間を無駄にしていないか
- 実際の業務の流れをきちんと支援できているか
- 使うことで、すぐに何かメリットを感じられるか
この3つが揃ったとき、システムは強制しなくても自然と使われるようになります。
「このシステムを使うのが、一番楽だ」——そう感じてもらえたとき、はじめてシステムは本当の意味で機能し始めます。
※本記事はグローバル本社のブログ記事を日本語版に修正したものです。
原文はこちらをご参照ください。
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